Drafts

@cm3 の草稿置場 / 少々Wikiっぽく使っているので中身は適宜追記修正されます。

翻訳本をMendeleyで入力してBibTeXで使いたいから、Notesに原著情報書くことにした

翻訳のある本を原著で読んで、引用したい場合、社会学のレポートでBibTeXを使う手順 - 503 Service Unavailable にある

@BOOK{Esping-Andersen1990,
  title = {The Three Worlds of Welfare Capitalism},
  author = {Esping-Andersen, Gosta},
  year = {1990},
  publisher = {Princeton University Press},
  jtitle = {福祉資本主義の三つの世界},
  jauthor = {岡沢 憲芙 and 宮本 太郎},
  jyear = {2001},
  jpublisher = {ミネルヴァ書房},
  isbn = {9784623033232},
  url = {http://amazon.co.jp/o/ASIN/4623033236/}
}

みたいに入れてもよいと思うけど、この書き方は「翻訳のある外国語文献の場合は、原書の情報に加え、以下のフィールドを追加。」と紹介されている通り*1、厳密にいうと、英語で原著を読んで邦訳があることを読者に教えてあげるねって書き方なので、原著がメインに押し出されてるんだよね。翻訳書を読んで原著読んでないのにこの書き方するの、僕は結構気が引ける。

あと、jってなんやねんというのがありまして。LaTeX tiny Tips で配布されてる bst ファイルで定義されているだけで、もちろんBibTeXの一般語彙ではないです(ジャワ語(Javanese)に翻訳された本とか、ロジバン語(Lojban, ISO639がjboなんだよねw)に翻訳された本(!?)とか考えると、jtitleのjがJapanのJなら汎用性を持たない構造だなと分かるわけです)。

使えるんだからいいじゃないか!というのも一理あるんだけど、中途半端に流通したりすると、QA: 文献リストの邦訳論文について ←こういう混乱が生じるわけです。BibTeXにはちゃんと情報入れたのに、なんで邦訳の情報が表示されないのと。外部環境とセットにならないと明白にならないセマンティックスをデータに入れてしまうとこうなる。

根本的な問題を言うと、BibTeXが悪い。ありがちな、翻訳書をどう書くかという問題について、スマートな解決策を持っていないフォーマットなのだから、BibTeXが悪い。というかそもそも語彙についてW3CIETFみたいな標準化団体を持たない世界なのでやんぬるかな。

しかし、その悪いBibTeXを使うときに、(1)無理くり構造化する (2)構造化をあきらめて備考的に原著情報を書く という2つの選択肢があるので、(2)でええやんと思います。

@book{Nancy1999jp,
author = {ナンシー, ジャン=リュック and バイイ, ジャン=クリストフ},
isbn = {9784787210401},
pages = {121},
publisher = {青弓社},
title = {遠くの都市},
translator = {小倉, 正史},
year = {2007},
annote = {原タイトル: Los Angeles ou la ville au loin
原著者名: Jean Luc Nancy
原出版社: Fayard
原著出版年: 1999}
}

Mendeley で入力しているときには Tools>Options から Translators という項目が追加できるので、翻訳者は追加できます。他の情報はNotesに入れるとannoteとして出力されます。こういう微妙な対応関係は Mendeleydesktopの属性とBibTeX属性の対応 - 発声練習 に書かれている。

碌な代替がないから僕はBibTeXの方がplain textよりは好きなんだけど、ちなみにRISは

  • TA Translated Author
  • TT Translated Title

の2つの項目を持ってはいる。EndNote XML は知らない。ORCIDとか出てきたらAuthorにもID与えたいよねとか考えると BibTeX後方互換性のあるまともな標準化が必要なのかも? jtitle の代わりに original-title 、あとoriginal-isbn みたいなID参照系の語彙が広まってくれればいい、というだけの話なのかもしれない。

その他参考:

*1:だから、このブログには何も問題がない