たとえば"技術者倫理" "ワンピース"で検索しても全然引っかからないんだよな。
最も多く発行された単一作者によるコミックシリーズでギネス世界記録に認定されているにも関わらず、今の世論のどこをとっても「ワンピースも見てねえのか」と思うようなことが多い。個々のテーマで深めようとした作品は例えば、罪を未然に裁くことだったら PSYCHO-PASS でもなんでも挙げられるのだけれど、あれだけ幅広いテーマを一貫して一繋ぎに繋げた作品はおそらく僕が死ぬまでに出現しない。たまに、好きな漫画でワンピースを挙げることはあっても、長すぎて、そして既にみんなが知ってることになっているため、なかなか「勧める」という行為には結びつかなかったのだけれど、研究で関わる側面だけでもいくつかメモして、何話をどういう視点で見てみろというガイドを持っておくことには意義があるかもと思って、メモを取ることにした。本当はそれぞれに、テーマごとの論文や思想家の紐付けも行うべきだけれど、おそらくそれは後回しで良いはずなので、とりあえず、メモだけ。いつも三日坊主な僕なので、これが完成することはないと思うけれど、まあ誰かが引き継いでくれるかもしれないし。魚人島の話は差別の問題で、とかはたくさんの人が考察してて、的確な批判もあれば、チャリタブルに読めてなさすぎっていうものもあったりいろいろなんだけど、人工物と歴史関連はあんまり多くはない印象。
漫画ではなくアニメで書く(プログラミングしながら音を聞くというので思い出している)
Episode 249 技術者倫理と、デュアルユースに繋がる使用の責任について
バカ野郎・・・この間来たあの諜報部員に、お前の戦艦を使われたんだ・・・!!! おれは言ったぞ。何度も!何度も!!いいか!おれ達の腕はこの世に凶器を生む腕だ!!! たとえお前にその意思がなくても!!!凶器は構わず誰かを傷つける!!! それがお前にとって大切な人間でも、だ!!!
Episode 250 製造者責任と愛について
トム
どんな船でも・・・・造り出すことに”善”も”悪”もねェもんだ・・・・!!この先お前がどんな船を造ろうと構わねェ!! ・・・・だが生み出した船が誰を傷付けようとも!!世界を滅ぼそうとも・・・!! 生みの親だけはそいつを愛さなくちゃならねェ!!!生み出した者がそいつを否定しちゃあならねェ!!!船を責めるな 造った船に!!!男はドンと胸を張れ!!!
ちなみに、ゴール・D・ロジャー「生まれてくる子に罪はない!!ガープ!!俺の子を頼んだぜ!!」フランキー「存在する事は罪にはならねぇ!!」との関連について述べたブログは既存だけれど、アラバスタ編で強くナウシカが意識されている(特徴的なのはビビ&カルー∽ナウシカ&王蟲の子のシーンとか)とおり、生物という人工物にも同様の思想を持っていて、パンクハザードやエッグヘッドで具体的なセリフがあるはずだけど後述。
このエピソードがゴーイングメリー号の話と並行しているところが珠玉のデザイン。ただ、経験上、人工物に愛着を持てるかどうかは育ちだけでなく何か遺伝的なバラツキが強く作用していて、イーストブルー編から全て見ていたとしてすら、「わかる」かどうかは人によるかも。
Episode 233 人工物の本質主義と同一性について、徹底的にアナログな実践論からの答え
パウリー
船の全骨格の土台、“竜骨”は『船の命』――そいつが酷く損傷したからといって、挿げ替えるなんて事ァできねェってわけさ。それじゃあ船を一から造るのと同じ事だからな。――だからもう誰にも直せねェ。お前らの船はもう死を待つだけのただの組み木だ
ルッチ
似た船なら造ってやれるが、厳密に言って同じ船はもう誰にも造れねェ。この世に全く同じ船は2つと存在し得ねェのさ 例えばそんな船を作ったとしてそれが全く違う船であると最も強く感じてしまうのは きっとおまえ達自身だからだ
本質主義的な言葉はネフェルタリ・コブラ「国とは“人”なのだ!!!」(Episode 105)チョッパー「もしルフィが負けても全員がこっちのチームに来るんだから、みんなと別れなくてすむよな?」ロビン「でもその時は、もう船長さんは船長じゃなくなっているのよ。私たち全員あのオヤビンの部下になるわけだから」→想像シーン(Episode 217, デービーバッグファイト編、特にアニメがだらけ始めたのがここら辺からなので基本的にスキップ推奨であり、僕も位置付けがイマイチわかってないが、これは組織の同一性に関する指摘)、を通して、人の組織についてメンバーとその絆を本質に据えた上で、組織性について補足しているように見える(補足はアニメオリジナルの部分なので、尾田の意図との一致は不明)。(当然と言えば当然だが、)人工物の構成については全く違う本質の捉え方をしている。
Epidode 251 技術者倫理は専門家倫理に拡張しうる
ロビン「何も私は兵器復活のためにポーネグリフを求めているわけじゃないわただ歴史を知りたくて」アイスバーグ「そんな言い分に意味はねえ!」上記Ep.249のセリフを回想「人を傷つけるものに必ずしも悪意があるとは思わない、歴史を知りたいというただの興味が世界を亡ぼす結果を招くなら、今おまえはここで死ぬべきだニコ・ロビン!」
ここはオハラの史実についての誤解が含まれているので再解釈が必要になるが、かなり明白に技術から専門家倫理への拡張を行なっている。