概念のモデリングについてn回目の悩み。アルゼンチンの土産で妻に頼まれて Alfajor を買ってきたら、コーティングはチョコも白いアイシングもあって、そこに con baño なんちゃらって書いてコーティングの種類の別を表現している。baño は出張中もトイレどこ?って聞くのに使ったので、覚えているのだが、元々は浴槽を指し、浴室、トイレまで指す言葉で、チョコレートのお風呂につけたお菓子なら、con baño de chocolate と表現される。Torta de mandarina con chips y baño de chocolate (sin tacc) Receta de Carolina C- Cookpad みたいにチョコレートのチップとグレーズという表現もあるので、 baño は素材の状態としての意味も持つような使われ方をする。単にチョコレートのお風呂ってなアナロジーから来ているのかもしれないし、baño de maria という湯煎もしくはそれ用の二重鍋を指す語があるので、製造過程でそれを使うという側面もあるかもしれない。con は with を意味し、他の言語だと形容詞の接頭辞で否定するところをスペイン語では sin (=without) で否定したりかなり con o sin (with or without)で表現することが多い重要な前置詞である。そして、レストランで水を注文するときは con gas / sin gas はよく聞かれる。さっきのレシピの sin TACC はざっくりと言うとグルテンフリーでTrigo (小麦), Avena (オーツ), Cebada (大麦), Centeno (ライ麦)が入っていないことを指す。話は逸れたが、この baño の用法を wiktionary に手元にある例文付きで書き込んだ後、wikidata のどこかにも書くところあるかなと考えて、ざっと見回して頭を抱えてしまった。
glaze - Wikidata の fabrication method に(語義説明では method の一つにしかなっていないはずなのに、method として唯一挙げられている dippingと並列して) glazing というのを作って、それのスペイン語名を、glaseado とし、異名に baño と書くという手も考えたが、そもそも glaze の中で glazing が区別されていない。Wikipedia との対応を考えると当然その二つは同じ記事に書かれるわけだから無理からぬことである。つまり、Wikipedia との対応を Wikidata で取ろうと言うこと自体に無理があるといえば無理があるのだが、そもそも Wikipedia の多言語ハブとしての役割が Wikidata の出自なのでそんな文句は的外れでもある。というわけでとりあえず glaze のところの スペイン語 glaseado に異名として baño を書いておいた。誰かが適当にしてくれるかもしれない。ここらへんの細かいモデリングは Wikidata Lexeme にある程度譲るのがいいかもしれないと最近考えている。
結局言葉の意味の典拠は言葉の用法にしかなく、それによる限界とどう向き合うかということのまわりをこの1年ほど撫で回している。論理哲学論考の周りをぐるぐると。