からいろいろ考えてましたが、どんどん別件の仕事も舞い込んできて、ある雑誌の完全オンライン化を手伝ってます。
そこで、
- (Markdown → Pandoc + panzer → HTML など)
- 何らかの形で HTML 入稿してもらう
- Vivliostyle でオンラインビューの提供とPDF化。
- J-Stage にそのPDFとPeerJ/jats-conversion: Conversion and validation for JATS XMLでJATS化したHTMLを送ることで日本・世界の学術情報流通網に乗せる。
という流れを現在のところ検討中です。危ないのは Vivliostyle による PDF 化がどのくらい綺麗にできるかという点です。いざとなれば JATS はメタデータ部分だけでもいいので最後の段階は if possible で済みますが、J-Stage は PDF を正式版として扱う思想になっているので、あまり適当なPDFで流通するのは著者にとって嬉しくないでしょう。
さらに他のプロジェクトで作っている 拡張Markdown 形式の論文から HTMLを生成して、それを上のルートに乗せて実験してみたいところです。
- HTML第2ステージ の [4] ワンソースマルチユースとHTML なんかはとても近いことを書いている。
実はお金的にもちょっと考えがあって、普通、大学が外注するときは、額にもよりますが、仕様書を作って、候補になりそうな業者数社に相見積もりを取って、発注するという流れになります。それが非現実的なフローだとかそういう話は今ちょっとわきに置いておいて、今のオープンな開発の流れに逆行している部分に着目してみたいと思いました。つまり、開発されたプログラムは、大抵、一研究室や研究機関レベルで死蔵され、もし公開したとしてもダウンロード数が大したことないことが多いです*1。まあ、利用者数の問題じゃないと分かりつつも、大型蔵書や大型システムの利用者が少ないのは、見ていてあまり心地よいものではなく、焦りのような感情を持つ。
既になるべくやっているのは、少々不安定だろうが、オープンソースのものを積極的に組み入れて使ってもらうということです。で、さらには、そこに投資できないかと考えています。国民で意見を持つ方の多数派は「それは大学の役割じゃない」と考える気がします。でも、それが、大学の金の流れの無駄を生んでいる原因でもあるのです。つまり、タダじゃないかぎりモジュールの積極的組み入れは行われないとなると、モジュールの開発に資金が降りない=有用なモジュールの共有によるコストの低下が起こらない、ということになります。あんまり、発注の時に中身のことまでこーしろあーしろというクライアントが迷惑なのは開発側に立ったことがあるのでわかりますが、Vivliostyle のような活動は特にPDFによる情報流通を行っている学界が積極的に投資すべきではないでしょうか。まず、エンバーゴ方式でオープンになったものとかに非商用で使ってみて、使えそうなら商用ライセンスでPDF版の販売を行い、収益でその活動全体をサステイナブルにするとか、できたらいいなと。
2016/4/16 追記&本文変更:
サイトの管理と一体になってきたのですが、
- WordPress の寄稿者権限で非公開投稿してもらって、レビューして公開する → Markdown or HTML から HTML が生成される。
ともともと書いてたけど消した。やっぱり WordPress で投稿というのは無いわ。
- オフラインで同じ使い勝手のソフトウェアを作るのが面倒すぎる。Markdown as Word Processing Format - Draftsにも書いているけれど、やるとしたら TextArea 拡張系のツールをローカルでも簡単に使えるようにするとかかなぁ。
- WordPress 自体が結構オワコン。遅いし。SQLite IntegrationやStaticPressつかって、MySQLを使わず静的なファイルを書き出す方式にすれば随分使いやすくはなるだろうけれど。僕は Nginx をフロントに置いているので、【nginx】【超高速】 WordPress のウェブサーバーを nginx にして、プロキシキャッシュを使ってパフォーマンスをとても向上させるまでの試行錯誤です!【Apache からの卒業】 – oki2a24を参考にその対応もしなきゃなんない。WordPressが必要だと思っていたレビューのプロセスは Submittableみたいなのが必要なんだ。Open Journal Systemsもちょっと気になっている。
- 次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業(CSI) 委託事業 領域2「リポジトリと電子出版の連携モデルを確立するための実験開発」というのが昔あって、その名残かちゃんとOJSは日本語化され続けていて、「電子出版システムを活用した『大学図書館研究』電子ジャーナル化の試行について」で紹介されているように日本でも少し使われ始めていて、その代表例が応用哲学会で、そこは2015/4まで京都大学に事務局があった経緯から(?)京大のOJSを使っている。もう一方がInter Facultyで、こちらは筑波大学のサーバ上にある。後者の方が見栄えはいいが、最後の Publish の部分は別のサイトでやりたいんなら、1クリックでスクレイピングして整形するようにしておけばいい。
- 参考: 最近のOJS(Open Journal Systems): さ迷う
- Markdown as a Simple Solution for HTML and PDF Galleys in OJS PKP2015での5分くらいのライトニングトーク。Markdown 褒めてるだけであまり中身は無い。
- 次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業(CSI) 委託事業 領域2「リポジトリと電子出版の連携モデルを確立するための実験開発」というのが昔あって、その名残かちゃんとOJSは日本語化され続けていて、「電子出版システムを活用した『大学図書館研究』電子ジャーナル化の試行について」で紹介されているように日本でも少し使われ始めていて、その代表例が応用哲学会で、そこは2015/4まで京都大学に事務局があった経緯から(?)京大のOJSを使っている。もう一方がInter Facultyで、こちらは筑波大学のサーバ上にある。後者の方が見栄えはいいが、最後の Publish の部分は別のサイトでやりたいんなら、1クリックでスクレイピングして整形するようにしておけばいい。
*1:余談ですが、くずし字学習アプリ「KuLA」は橋本さんが自分で開発されていて、大成功しているので本当に素晴らしい