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@cm3 の草稿置場 / 少々Wikiっぽく使っているので中身は適宜追記修正されます。

群像劇

調べているうちに見つけた群像劇とは (グンゾウゲキとは) [単語記事] - ニコニコ大百科の説明が最もよくまとまっていたので、群像劇の良い説明を求めている人はそちらをどうぞ。


きっかけも忘れてしまったが、群像劇という表現手法を理解せねばならないというよくわからない強迫観念に憑りつかれ、ググったり映画を見たりしていた。

まず、群像劇は「それぞれの物語を持った複数の登場人物によって進行していく創作作品の総称」*1で、代表的な映画の名前を取ってグランドホテル方式と呼ばれたり、英語圏ではEnsemble castと呼ばれたりする。

登場人物が複数なのは多くの映画で当てはまるので、重要なのは「物語を持った」登場人物が複数いることである。つまり、複数の物語で構成されている物語という点が特徴になる。しかし、物語のまとまりを捉える粒度は恣意的なので、考えようによっては多くの物語が複数の物語で構成されているといえる。というわけで、さらに丁寧に記述すると「一見無関係に見える物語が纏められている」という点も重要になる。

「一見無関係に見える」ということは、言語処理的に定量化可能だろうか?それは簡単だ。劇の台本として書き起こし、登場人物や重要なアイテムや概念、場所などの用語を特定し、そのネットワークとして物語をデータ化する。そこにクラスタリングを適用し、Modularity が十分に高い解が存在し、その際の各クラスタの規模の分散が小さい場合、「一見無関係にみえる複数の物語が全体を構成している」と言える。

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from Newman アルゴリズムによるソーシャルグラフのクラスタリング

そして、ハブとなるものの存在が物語を一体として見せることになる。今回見たsnatchでは、86カラットのダイヤがそれになるだろう。主人公もハブの役割を果たすかもしれない。見てないけれど同じく群像劇とされることもある指輪物語では指輪だったりするのかしら。

同様の分析はナウシカをネットワーク分析する social network analysis: HPO:個人的な意見 ココログ版という10年以上前の記事にあるし、こういうタイプの考え方はまさにゼロ年代に流行った気もする。今やればもう少し意味に踏み込んだ分析ができる。この末尾にスーダンダルフール危機への言及があることは、この説明しえない強迫観念の一つの背景にそういった国際問題への意識があるのと奇妙に符合する。

他:

物語の構造分析関連: