Drafts

@cm3 の草稿置場 / 少々Wikiっぽく使っているので中身は適宜追記修正されます。

悪魔の証明から確証バイアスまで

ひろゆき的なものを蹴り飛ばす方法が流行りそうだし、詭弁 - Wikipedia は当然頭に入れておくとして、他によくネット上で見る詭弁っぽい話を撃退するのに使える概念を並べておこうと思った。

  • 悪魔の証明 - Wikipedia 土地の所有権を証明することが根本的には前の持主から前の持主へと、最初の占有者まで遡ることを必要とすることなど、(特に法的な)証明の手続きについてその困難さを指摘する用語。最近のネットでは消極的事実の証明の困難さと同義で使われることが多い。
  • 消極的事実の証明 - Wikipedia「証明は肯定する者にあり、否定する者になし」「証拠が無いことは、無いことの証明にならない」といった格言と共に消極的事実の証明の困難さとその取扱いについてよく指摘される。ただし、在れば知りうるはずだという蓋然性があるのに無い、在るという証明ではなくとも十分に疑わしさを得る手掛かりがある、といった場合に消極的事実の証明は現実的で為すべきことになることも多く、ネット上の議論で「悪魔の証明」の不可能性をこの意味で金科玉条のように使ってくる相手には、「消極的事実の証明のことですよね?存在を十分に示唆する事柄がある際にそれについての合理的な説明を求めることは、論理的に不可能な消極的事実の証明と呼ぶに相当しない、つまり悪魔の証明ではありませんが?」と言っておけば良いですよ。これにまともに応答できる人間は、カラスの中での白い個体くらいの確率でしか存在しませんので。
  • ヘンペルのカラス - Wikipedia は 全てのカラスは黒い ことを示すのに、全ての黒くないものはカラスでないことを調べればよい(対偶)ので、カラスを調べずにその事実が言える。もともと帰納法の問題を指摘するためにヘンペルが考案した問題である。黒くないカラスが居ないのを示すのが困難であることと一致するため、「消極的事実の証明」の困難さの一例にもなっている。次のウェイソン選択課題と絡めて、この手の問題に関して「全調査の可能性」が証明可能性に関わっていることを意識するのに役立つ命題であり、帰納を論理的に意味があると認められればサンプルでも意味があることになるということを意識するのにも役立つ命題である。
  • ウェイソン選択課題 - Wikipedia 「4枚のカードがテーブルに置かれている。それぞれのカードは片面には数字が書かれ、もう片面には色が塗られているものであり、3・8・赤色・茶色が見えている状態である。このとき「カードの片面に偶数が書かれているならば、その裏面は赤い」という仮説を確かめるためにひっくり返す必要があるカードはどれか?」という課題で、間違えて赤いカードをひっくり返す被験者が多いというバイアスの話である。ロジックというより人間の思考についての実験であるという点に注意。「アルコール飲料を飲んでいるならば18歳以上である」という社会的に具体的な課題に置き換えると正答率が増す。多くの人間は抽象的な思考ができないものである。有限、しかも4枚しかない状況では、ヘンペルのカラスと同じロジックが「間違いやすいが当然のコト」になるという点を説明するのに、この課題設定は便利である。
  • 確証バイアス - Wikipedia 仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない心理傾向のこと。ウェイソン選択課題で赤を選んじゃうような傾向ってことね。XがAであることを言うのに、not A なものに正しい手続きで着目した議論を「関係ない」と言われてしまったときなど「確証バイアスの囚人だね」と揶揄してやりましょう。