Drafts

@cm3 の草稿置場 / 少々Wikiっぽく使っているので中身は適宜追記修正されます。

前順序の場合に最大元は存在すれば極大元や上限になるか?

まず最大元の定義は、前順序(Q, \preceq)とその部分集合 P \subset Qについて以下。

g=Greatest~element(P, \preceq ) \overset{\text{def}}{\iff} g \in P \land \forall y \in P (y \preceq g)

b \in P に対して g \preceq b とする。g は P の最大元なので b \preceq g である。

一方で、極大元 m の定義は以下である。

m=Maximal~element(P, \preceq ) \overset{\text{def}}{\iff} ( \exists m \in P (\exists y \in P (m\preceq y) \implies y \preceq m ) )

m を g に、y を b に読み替えるとこれを満たしていることが分かるので、前順序でも最大元は存在すれば必ず極大元になる

また、上界 u

\exists u \in Q (\forall y \in P (y \preceq u))

その最小元である上限 s は、上界の集合 R \subseteq Q について、

\exists s \in R (\forall y \in R (s \preceq y))

g \in P, s \in R および上界の定義から、g \preceq s。また、 g \in R および先ほどの上限の上界内での最小性より、s \preceq g

しかし、先ほどと違い、ここから s = g が言えない限り最大元が上限になるとは言えず、それが言えない(反対称律が成立しない)ことが前順序の特徴であるので、少なくともこの手順では最大元が上限になるとは言えないことになる。「半順序ではなく前順序であること」は反対称律が必ず成立するわけではないこと、つまり、1つ以上成立しない場合があることしか言っておらず、最大元が上限になる可能性はある。ただ、上の s と g について反対称律が成り立たない場合に最大元が上限でないことは自明であり、この反例が存在する限り、前順序を考慮すると最大元は上限のサブクラスではない