Drafts

@cm3 の草稿置場 / 少々Wikiっぽく使っているので中身は適宜追記修正されます。

歴博の☆1~2レビューを読んでみた

現職の歴博、情報系研究員ということで周縁に居る感覚は否めないのだけど、結構好きです。まあ、これまでも僕は自分の居た場所は基本的に好きだったので、というか、組織としての好き嫌いを就活の時にある程度重視しているので、別に特段改めて言う必要も無いのですけど。で、Google Map上のレビューをなんとなく眺めてたら、1713件のレビューで総合4.3はすばらしく、これを築かれてきたスタッフの方々には頭が下がる。誰からも好かれるのは難しいし目指すべきでも無いだろうけれど、☆1~2のレビューを読んで分類して改善策を考えるという暇人なコトを休日の研究会前にしてしまったので、公開しておく。

(1) ☆の数間違えたんじゃないか?系(4件)

"Very nice day pass" や"とてもおもしろかったー"だけ書いて☆が1とか2とかそういうのあります。

(2) 子供の声を注意されて不快だった(1件)

程度にもよるので難しいのだけど、子供のある程度の声は許容したい。一方で、うるさいと注意してほしいというお客さんもいる。これは博物館一般の課題だと思う。すぐに改善策は思いつかないなぁ。

(3) ネトウヨさん(6件)

"歴史を捏造するなキムチ悪い" みたいなレビュー。否定する根拠まで書いているレビューはもちろん無いのだけど、だからといって無視しても良くないんだよね。これだけネトウヨ問題が前景化している中で、そういう人に、歴史研究のプロセスや展示の元となった資料、世間で流布している情報の整理などを提示して見せるというのは必要なのかもしれない。

(4) レプリカが多い(3件)

本物の資料が見たいという意見ですね。…実は僕はその「本物の資料が見たい」欲求が良く分からないので基本ノーコメントです。レプリカの質が低くてディテールが分からないというのなら分かるのだが、たぶんそういうわけではないよね…(精巧なレプリカはけっこうなお金をかけて作られていて、古い原資料は劣化しやすく展示できない)。「本物の資料が見たい」欲求が分かれば改善のしようもあるかも。

(5) (あまり期待されても困る役割を期待されている)(2件)

"日本史が好きな人には、いいかも"、"地元文化にもっと注視して"みたいなやつです。日本史に興味が無い人に興味を持ってもらうのも重要なコトだけど、それはうちが担う話じゃない気がする。各地域の資料館や初等教育の役割だと思う。特別展などで、他の分野との接合点から誘導するというのはやってるけど、興味の無い人を惹きつけられるポイントはあまりに多様で疎なので、国に1つの役割を担う大規模博物館という空間や時間が限定された体験では効率悪く、対象にしづらい。地元文化に関しては、各地の郷土資料館などと連携することで間接的に貢献しているので、住んでる場所や旅行先の各地の資料館を訪れてほしい。

(6) (値段が高い=)コスパが悪かった、コンテンツが期待外れだった(4件)

特別展のコンテンツ量が問題だったのか「特別展は国立のわりには、ちょっと…」と書かれていた、上野のトーハクの企画展と比べられたのかなぁ。トーハクさん企画展の展示品数多いしな。部屋的にもボリュームは出しにくいので、後述、ツアーやデジタルで補っていくしかないかも。でも、現行の特別展はボリュームについて文句は聞いたことないな。「展示がわかりにくい」というのもあった。どう分からなかったのかが分からないので具体的には対策しにくいけど、初心者向けツアーとか活動的な側面でフォローできればいいかな。「展示方法が昭和です」例えば、デジタルな展示は企画展ではやったけど常設展では少ないですね、もっと導入できるようにはしたい。


というわけで、{分かりやすく/コンテンツ量を増す/新しい体験}のためのデジタル展示の導入、歴史研究のプロセスや展示の元となった資料、世間で流布している情報の整理などを提示して見せることによる<正しい>歴史認識の醸成の支援、あたりは僕も関われることだと思った。子供の声の件は、すごく大事な点なのだけど皆目対策が思いつかん、とりあえず情報収集は心掛けてみます。「歴博」というキーワードではてなブログの関連ブログが拾えたり、Twitterでもレビュー的なのは拾えるので、そういうのから意見を拾い上げてきて一覧する支援もできればいいのかも。今回は人手でやったけど。