1章30分でまず流し読む(そういう粗いことすると警察が来るかもね)
なお、章名は元の章名じゃないっす。俺が覚えやすいように書いてるだけ。
前書きなど
専門的概念も常識的概念と接続しないと我々は認知できない。そこの齟齬が現実と概念の間の相互作用を生み出す(ループ効果)
1章 人種
所謂リジッドな人種の科学的な裏付けは失敗しているが、遺伝座の遺伝子頻度相関は地理的にもクラスターが存在するので、連続性をもった新しい「人種」概念を持ち込んでルロワは人種があるという。それが理解できない(と僕は感じたので中指たてて読んでた)グッドマンがクソリプ返してるんだけど、まあ確かにこういう理論は悪用されやすいという問題意識は分かる。
種の概念については自然を名づける―なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのかが超面白いよ、問題意識も本書と似てるし。
あと、「集団の生物学的特性を確率という形で個人に帰属することによっても人種主義は成立しうるからである(Gannett 2001)」ってのはそりゃそうなんだけど、信頼(もしくは信頼/安心)の議論と接続しないと、それが不適切であり得るだけでしょってことで、そういう不適切な概念活用が行われる過程の研究(冒頭 p.11 の「もう一つ」)に吸収されるだけな気がする。
2章 遺伝知識と疾患
出生前診断はルーマンのリスク/危険の区別で、技術によって後者が前者に移行した好例だね。
細かく具体的な記述はわかりやすく読みやすかった。
偶発性をどう捉えるかってところに大きな論点があって、そこに対して当事者同士の繋がりを持ち出すのははぐらかされた感もある(ロールズ的な正義論を期待していた)が、むしろそれが、どんな正義のもとでも疎外される人たちをどう救うかという点において示唆を得られてよかった。
ナビゲーション2
こういうのイイね(本の構成というメタな点で)。前にシンポジウムでも企画者が各講演のつながりについてナビしなきゃいけないって書いたけど、こういう多様な話をまとめて見せる場合も同じだな。