Drafts

@cm3 の草稿置場 / 少々Wikiっぽく使っているので中身は適宜追記修正されます。

学会やコンソーシアムのウェブ運営

大抵の場合、学会やコンソーシアムのウェブ運営は

  • 運営するお金があまりない
  • ドメインは取りたい、そのドメインのメールは使えるようにしたい
  • メーリングリストを運営したい
  • コンピュータ技術に詳しい人は更新に携われない
  • その割に見た目のカッコよさやモバイルアクセスにはこだわる人が多い

という条件を負う。

無料で運営するのならば Weebly、有料でも良いのならばさくらインターネットのレンタルサーバースタンダードプランロリポップのスタンダードプランにWordPress立てて、初めの設定だけ詳しい院生にバイト代出して構築してもらうのが一番良いと思う。MLの管理機能も付いてくる。セキュリティを保つためのアップデートなど技術面での心配事が0にはならないが、誰でも管理できる範囲になるはず。WordPressは(質はいろいろだが)日本語の情報も充実している。

レンタルサーバで同様のものにFC2TOK2があって、これらは無料のプランもあるので、是非にとお勧めしたいところだが、独自ドメインを設定している場合、無料プランにはどうせ移行できない。そうすると最安値の250円/月付近のプランを選ぶことになるが、それならメーリングリスト機能とか考えると上記の方をお勧めする。

Weebly は 科学社会学会がそれを使っている。類似のサービスで Wix とかいろいろあるけれど、たとえば エンタメと知財分科会 が使っている Strikingly は無料プランの使い勝手が悪く、物を売る場合にストア機能を有料プランで使うのでなければあまり選択肢としては有力ではないだろう。朝日講座Jimdo を使っている。広告がないので有料プランかな。こういうウェブ構築サービスは有料プランの相場が $8/month くらいなので、それを払ってしまうと、上のさくらインターネットのパターンより少しだけ高くつくが、完全に技術マターを排したければ選択肢にもなりうるだろう。また、初めにデザイナーを入れるつもりはないがカッコイイ見た目重視!って人にもこちらの有料選択肢は向く。

ちょっと揶揄めいて書いているように、学会やコンソーシアムのウェブで見た目のカッコよさに過度にこだわるのは僕は好きではないけれど。

若手の会くらいだと、運営するお金が0になり、ドメインもこだわらず、カッコよさの要求も低くなるので、Google Site が多い。

NLP若手の会は独自ドメインNetCommons という選択(=レンタルサーバにインストールかな)だけど、彼らは全員コンピュータ技術詳しいのであまり汎用的に参考にはならない → NLP若手の会(YANS)

参考:

余談 -組織のネットワーク・ウェブサイト運営は引き継ぎサイクルを回すのが大事

ちょっとプライベートになりますが、東大の豊島寮のホームページも Google Group に移管しました(2011年ごろ、その時は Google Group にウェブサイト機能があった)。そのサブ組織のコモンというまとまりでは qwik 使ってたのですが、これはずっと使ってないと消されるという特徴があり、今確認したら消されていました。豊島寮には2回在籍していて、1回目の時にはネットワーク管理とかにもものすごく詳しいS岡さんという方が独力でネットワークの負荷分散からセキュリティ、違反者監視、掲示板の提供などなど全部やってらっしゃったのです。2008年時点ですから、そんなにいいサービスがない中、自分でスクリプト書いたり使い勝手の悪いサービスをうまく組み合わせたり、本当にすごかった。でも、その体制は2回目に来た時に危機に瀕しています。とはいってもIPOまでたどり着いた某有名ニュースアプリベンチャーの共同開発者Sさん(=コンピュータの知識はそれなりに詳しい)がネットワーク担当をされており、まだ退寮されたS岡さんのサポートもうけられていたので完全崩壊はしていなかったですが、コミュニティ機能は全ストップ、なんとかコアの部分だけ古代遺産を扱える現世の技術者が運用しているというナウシカ的世界でした。そこで、運用の人的コストを最大限下げるような改革が行われます。

現在のネットワークは7年前のネットワーク委員が構築したシステムを使っています。豊島宿舎のように200人の学生がいる大規模なネットワークが特に大きな制限もなく正常に運用できているのはこのシステムのおかげです。

しかし、このシステムはとても複雑なものであり生半可な知識で運用できるものではありません。先代のネットワーク委員から直接引継ぎを受けた私も、ある程度の運用は可能ですが大きなトラブルが起こった場合に復旧できる自信はありません。今後引継ぎを進めていく上でこのリスクはますます増大していくことと思われます。また、ネットワーク委員の給与が下がったことで、そのリスク・負担に見合わなくなるといった問題もあります。

そこで今回より簡素化した新システムの提案を行うことになりました。

と2010年度末の提案書にはあり、実際そのとおりに改革が行われます。末尾には

サーバを廃止するため、外部にHP用のスペースを借りるために月200円前後の費用が必要になります。しかし、サーバの維持費用の削減の効果の方が大きいと考えられます。

という文言があり、それが Google Group への移管になり、僕が主導しました。そのあとどうなったのかは僕はわかりません。

このコミュニティ機能の再構築の前に、自転車の譲渡制度や代々の議事録のアーカイブ管理など三鷹寮にいた時分から色々やったのですが、途中で気づいたのは「頑張りすぎちゃいけない」ということでした。だって膨れ上がったタスクは誰にも引き継げないのだもの。でも、その反省に立つとS岡さんも頑張らなくてよかったのかというと、いや頑張ってもらわなかったら当時の寮生はあの恩恵に与れなかったわけで、その時代時代の人々が利益享受するのだから、「頑張りすぎちゃいけない」というのはあまり正しい教訓ではない。ちゃんとコアの部分を次の世代へバトンタッチしてそれがうまく回るのを見守るというのが大事。これは子育てにまつわる過干渉・過保護問題とか、世界史における(特に中国史における)王朝の盛衰を見てても感じるわけですが。その反省に立ってコミュニティ機能の再構築は運用コストを最低限まで抑え、寮祭や個人単位での交流など、引き継ぐ必要のない部分に力を入れました。

なんで、ウェブ運営の余談がこんな話に広がっているかというと、結局ウェブ運営というある意味小手先の問題も、学会やコンソーシアムの運営全体の問題と密接に関わっているからです。本当にウェブは必要ですか?本当にその機能は必要ですか?本当にその情報発信はウェブから行うのが最適ですか?Twitterやメールの方が適切じゃないですか?そもそも学会の機能は何ですか?

大学の仕事が雑用ばっかりだというのは、もちろん、政府が求める書類の多さや、国民の無駄な不信に答えなければならないという外的要因も大きいです。

でも、自分たちが作り出した雑用を見直すことができない、組織マネジメントができない、という問題も多々あるのです。雑用の受け手が必要になった時にすぐ「若手に任せられないだろうか」という発言をする人には、「その前に、その雑用が必要か検討してください」と受け答えして構わないと思います。そして、自分でも検討してみてください。人が集まる場で理路整然と雑然のカットを申し出れば、どんだけ若手だろうが、結構受け入れられるものです。

守破離という言葉もありますので、個人的にはあまり守を疎かにするのはいかがかと思いますが、いかなる現状についてもどういう理がその現状を成り立たせているかを考える僕は、リベラルな(?)人々からは保守的に映るようですので、まあその偏りを考慮していきなり破ってもいいんじゃない?と言っています。)