Drafts

@cm3 の草稿置場 / 少々Wikiっぽく使っているので中身は適宜追記修正されます。

鉄といきもの

カイロを捨てる時にちょっと手が止まって。そういやほぼ酸化鉄の塊なのになんか有効活用の方法とかないのかと。塩化カルシウムでさえ使い道があるんだから何かあるだろうと。

キレート鉄で海に鉄分補給

調べてみたら回収しているNPOはあるのだけれどトン単位で集めて、ゴミが減りました!と言っているものの使い道がページ内に記載されていない…。ブログの方を見てみると鉄炭団子というものを作って海にまいているのだとか使い捨てカイロのリサイクルで海が再生する!「鉄炭だんご」の不思議のようなテイストのブログ記事を見ていてもEM団子を連想させるので怪しいなと思ったら、レファ協に関連論文などが載ってた。あんまりドンピシャなものばかりじゃないが、市議会の答弁なんか見ると鉄分不足の海で鉄分が藻類が利用可能な鉄分が補われることにより藻類の増加に繋がって、海を回復させるというメカニズムが書かれている。紹介されている論文の1つ目はキレート剤で鉄を奪う(鉄キレート剤というと鉄が含まれていると勘違いする人のためにキレート剤の例を示しておくと例えばFerrozinとかが論文に使われているが、リンク先を見てもわかるようにFeは含まれていない。鉄とキレートを形成する物質の意。)と藻が死ぬ話で、赤潮原因藻を含めた藻類の繁殖には一般的に鉄が必要だという話でしかない。そしてフルボ酸鉄と略相似しているキレート鉄を用いているとか特許者は言っているが、これはむしろ上の論文の結果と矛盾しかねない(後述のように必ずしも矛盾するわけではないし、これはどちらも誤っていないと僕は考えている)。ちなみに略相似ってなんぢゃと思ったら、特許用語で「だいたい相似」みたいな意味らしい。

そして、多角形の重心を成長中心として、網点形状に略相似な形状で網点を成長させる閾値マトリクスを作成する(S26)。

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Then, there is formed a threshold matrix for making each halftone dot grow around the centroid of the polygon as the center of growth in a shape approximately similar to the halftone dot shape (S26).

という対訳から推測したが、日本語では定義らしいものを見つけることができなかった。

で、この事例にとどまらずもう少し鉄と海について調べてみると、【すごいぞ!ニッポンのキーテク】「藻場」の再生に威力 腐植酸鉄+(1/3ページ) - MSN産経ニュースで紹介されているフルボ酸鉄というのが出てくる。先ほどの例もクエン酸鉄でやっているので、要はOceanBlue: 本格的にフルボ酸鉄の添加剤を作るの米欄に分析されているように「酸化鉄(錆)≒リン酸鉄>三価鉄イオン>キレート二価鉄>二価鉄イオン」のキレートくらいまで落とせば鉄は活用できる、先ほどの論文の例は、鉄無しでキレートだけ入れたから平衡状態の関係で藻が鉄を利用できなくなったと見ることもできるがよく分からない。まあ、調べれば出てくる出てくる「フルボ酸鉄=クエン酸鉄」みたいなもうなんでわざわざ「=」使った!?とキレたくなるようなブログまで。

その中で、

河川水中の溶存鉄のほとんどは、フミン物質と有機錯体(フルボ酸鉄錯体)を形成していると考えられる。しかしながら、河川水が海水と混合する河口及び沿岸域では、河川水中に存在する溶存有機錯体鉄は、海水と混合することによる平衡のずれで鉄が解離(金属イオンの交換反応等:Stumm and Morgan, 1996)し、生物利用可能な無機鉄イオン種濃度が増加するであろうと考えられる(Kuma et al., 1999)。一般に、藻類による鉄取り込み速度は、周囲の無機鉄イオン濃度に依存しており (Sunda, 2001)、特に河川水の影響を強く受ける海域では、生物利用可能な無機鉄イオン濃度が過飽和状態になる可能性があり、その海域での生物生産を支える最も重要な因子であろう。また、ある種の藻類は、直接フルボ酸鉄錯体から鉄を摂取している可能性も示唆されている。

という海洋の生物生産を支える鉄という地球研のアムール・オホーツクプロジェクトの情報はそれなりに信憑性が高い(というか、印象論が多い特許者のコラム記事よりはそこで「賢人」というラベルで指されている愚鈍な私にでも理解できる)。

And More...

こっからは余談っす。

人間も鉄分摂りますよね。前述のように藻にとって鉄分は不可欠。先日出張時に朝「がっちりマンデー!!」というテレビを見ていたらJAMSTECが紹介されていて、スケーリーフットがアツいみたいな話が出てた。「後生動物の中で唯一、骨格の構成成分として硫化鉄を用いる生物として知られている」しかもその構成が緻密なのでアツいだけであって、生物が鉄を使うと聞いてダズ・ボーネスを連想する奴にはまず「お前の血は何色だ?」と聞くべきだ(俺だよ俺)。

「赤い川 -鉄細菌のはたらき-」という論文には not 後生動物が鉄を扱う話が書かれていて面白い。あとでゆっくり読む。ちなみに、この論文、参考文献欄にひどい略記が見られるのだが、1987年のこの界隈の流儀なのだろうか。

______, K.L. Temple, and M.E.Hinkle 1950. J.Bacteriol., 59, 317.

って著者名もちゃんと書いてなければ題名もないし、何が59で何が317なのか意味不明すぎるんだけどwww。ちゃんと元論文は見つかりました→AN IRON-OXIDIZING BACTERIUM FROM THE ACID DRAINAGE OF SOME BITUMINOUS COAL MINESはじめの_____はひとつ前に挙げられている論文の第一著者と同じって意味なんだろう…。