Drafts

@cm3 の草稿置場 / 少々Wikiっぽく使っているので中身は適宜追記修正されます。

冨山和彦の典型的な近視眼

について。

どういうカテゴリに典型的かというと、自分が今の社会の構造上経済的政治的に利得を得れる地位についていて、そこから半径50m見渡して、見えない人間を馬鹿だ不要だと見做している奴らというカテゴリ。

誰も求めないことをやり続ければ、大学は教授陣や事務員の失業対策所、と思われても仕方がない。

求めている人間が大学教員以外にもいたのに、それを「誰も」と言ってしまえていること、

もちろん本当にアカデミズムを学生が追求できる大学もあっていい。しかし、それはグローバルで競争できるレベルでなければなりません。理系なら世界一の技術開発、文系なら世界のルールを日本に有利に決められる人間の輩出です。

という暴論を吐いていること ― 世界平和に貢献とかはねぇのかよ、とかね ― あたりからそのようにカテゴライズした。「世界一の技術開発」も「世界のルールを日本に有利に決め」る方法も必要で、そういう政治や社会からの期待に応えられていないという批判は真摯に受け止めろという話は役に立つ人文科学 - Draftsというエントリに書いたばっかりだが、そのために多くの理学的モデルの構築や、社会構造の分析、その後ろの歴史的な知見の蓄積が必要だということを絶対に理解していないことが

文学部ではシェイクスピアを学ぶのではなく、観光業で必要な英語や歴史・文化の名所説明力を学ぶ。経営学部ではマイケル・ポーターの戦略論ではなく、簿記・会計とそのソフトの使い方を。

という言葉からも見えてくるし、だいたい「簿記・会計とそのソフトの使い方」なんて10年で有用性が消え失せるレベルの技術なのに、それを大学で教えろというあたりが近視眼的すぎる。自分で学ぶ力を身に着けていない人が、10年後に雇用を失って使えない人材になったら、どうすんの*1?そういうこと考えてる?観光客に現地の人間が嘘八百の歴史を説明する国があることくらいグローバルなお方ならご存知だろうけれど「説明力を学」んで、説明する中身を軽視したらそういう軽薄さに至ることは想像ついてる?

ちゃんと大学は政治や社会からの要請に応えろという点については同意するからこそ、こういう味方に後ろから矢を放つタイプの人間はちゃんと批判しておいた方がいい。日本および世界の発展の邪魔になる。

正直、これほど騒がれるとは思っていませんでした。裏を返せば、そこに問題があるから騒ぐ。どうでもいいならスルーするはずです。これで、ひとつアジェンダ設定ができました。今後いろんな議論が起これば、と思います。

議論が深まっ太郎 - Google 検索


追記(6/14)

経済観測:役立たぬ「学術教養ごっこ」=経営共創基盤CEO・冨山和彦 - 毎日新聞 の中で

「技能教育のようなすぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」という反論だ。しかし、その具体例は聞いたことがない。

と回答いただけたようですので(違)追撃しておくと、少なくとも東京大学では「複式簿記会計の基本構造は数百年にわたり、変わっていない」ような基礎は、法学部でも経済学部でも大教室で行われる「会計学」にて教えられます。私も法学部で単位を取得しました。あなたがそういう授業を取らなかった or 覚えていないだけでは。「簿記・会計とそのソフトの使い方」と「複式簿記会計の基本構造」では全然違いますよ。まあ、折れるのが恥ずかしいから、折れてないフリして主張を更新しているのならば、もっと勉強して更新してください。

*1:この問題は大学が専門学校にならずとも世間の変化のスピードが速まれば生じるので、専門学校が生涯教育に手を出す必要性はあると僕は考えているけれど、学ぶスピードの問題があって、社会人が学生と同じ時間かけて学んでいたら使い物にならない。学ぶスピードを10倍にするための土台が無いといけない。